歯ぎしりと逆流性食道炎の意外な関係

2024.07.31

一般歯科

陽だまりデンタルクリニック 院長です。
最近、自分の歯ぎしりがひどくなってきたので、このテーマで書いてみました。

現代社会では、ストレスや生活習慣の乱れが原因で、さまざまな健康問題が生じています。その中でも、歯ぎしり(歯軋り)と逆流性食道炎という二つの問題は、多くの人々が経験しているものです。これらがどのように関連しているかを知ることで、健康管理に役立つ情報を提供していきます。

歯ぎしりとは?

歯ぎしりは、専門的には「ブラキシズム」と呼ばれる無意識的な歯の擦り合わせのことを指します。多くの場合、睡眠中に発生しますが、日中にも無意識のうちに歯を食いしばることがあります。この行動は、歯や顎に大きな負担をかけ、歯の摩耗や顎関節症(TMD)を引き起こす可能性があります。
私自身もひどい歯ぎしりがありますが、治療をしていないときは歯がズキズキしたり、どんどん歯がすり減って尖ってきたりして大変でした。

逆流性食道炎とは?

逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することによって生じる炎症です。これは、胃と食道を分ける下部食道括約筋の機能低下や、食道と胃の間の圧力バランスの乱れによって引き起こされます。この病状は、胸やけや酸っぱい液体が口まで上がってくる感覚など、非常に不快な症状を引き起こします。

逆流性食道炎の原因には以下のものがあります。

1、下部食道括約筋の機能低下

この筋肉が緩むと、胃酸が食道に逆流しやすくなります。研究によれば、下部食道括約筋の圧力低下が逆流性食道炎の主な原因とされています(Source: J. Gastroenterology, 2015)。

2、肥満

体重が増えると、腹部の圧力が高まり、胃酸の逆流が促進されることがあります。肥満が逆流性食道炎の発症リスクを高めることは、複数の疫学研究で確認されています(Source: Obesity Reviews, 2013)。

3、飲食物の影響

カフェイン、アルコール、辛い食べ物などは、胃酸の分泌を増加させたり、括約筋の機能を低下させたりすることがあります。

4、喫煙

喫煙は括約筋の機能を弱め、胃酸の逆流を引き起こしやすくします。喫煙者における逆流性食道炎の発症率が高いことは、多くの臨床研究で示されています(Source: Journal of Clinical Gastroenterology, 2016)。

歯ぎしりと逆流性食道炎の関連性

逆流性食道炎と歯ぎしりは、一見無関係に見えるかもしれませんが、いくつかの共通の原因によって関連しています。

ストレスとの関連性

ストレスは、歯ぎしりと逆流性食道炎の共通の原因です。ストレスが高まると、身体はさまざまな方法で反応し、その一つが歯ぎしりです。また、ストレスは胃酸の分泌を促進し、逆流性食道炎のリスクを高めます。ある調査によれば、ストレスレベルが高い人々は逆流性食道炎のリスクが40%以上増加するという結果が得られています(Source: American Journal of Gastroenterology, 2014)。

逆流性食道炎による歯ぎしりの誘発

逆流性食道炎の患者は、寝ている間に無意識に歯ぎしりをすることがあります。これは、逆流した胃酸が口腔内に到達し、歯や歯茎を刺激することで生じる不快感を無意識に和らげようとする反応と考えられています。また、胃酸が口腔内のpHを下げ、歯のエナメル質にダメージを与えることもあるため、歯ぎしりによる摩耗が進行しやすくなります。

逆流性食道炎による歯ぎしりへの対応策と治療

では逆流性食道炎とそれに伴う歯ぎしりへの対策としてどんなことができるのでしょうか。

逆流性食道炎の治療:

薬物療法

まずは根本的な逆流性食道炎を治療することです。この病気に対する治療薬でプロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬などの薬物は、胃酸の分泌を抑えるのに効果的だと言われています。今は色々と良い薬が出ているので消化器内科に受診してみましょう。(Source: New England Journal of Medicine, 2017)。

生活習慣の改善

食事の改善、特に就寝前の食事を避けること、アルコールやカフェインの摂取を控えることが推奨されます。この就寝前2-3時間前には食事を終えておくのが良いとのことです。体重管理や喫煙の中止も重要です。

次に歯ぎしりの対策に対する対策です。

ナイトガードの使用

ナイトガードは、歯ぎしりによる歯や顎への負担を軽減するために使用される歯科用の装置です。ナイトガードの使用は、歯の摩耗を防ぐだけでなく、顎関節の負担を減らす効果もあります。
ちなみに私も使用しています。これを使用しだしてから歯がしみたりズキズキする感じが激減しました。いろんなタイプのナイトガードがあるので一度歯科医に聞いてみてください。

ストレス管理

リラクゼーション技術やストレス管理のためのカウンセリングを通じて、ストレスを軽減することも効果的です。ストレス管理が歯ぎしりの発生を減少させる可能性があることが示唆されています(Source: Behavioral Medicine, 2019)。

逆流性食道炎と歯ぎしりは共通の原因によって相互に影響を与える可能性があります。ただし、歯科的なアプローチとしては逆流性食道炎を抑えるようなことはできませんのでご注意ください。
これらの症状に悩んでいる場合は、医師や歯科医に相談し、適切な治療を受けることが重要です。健康管理を通じて、より快適な日常生活を送ることができるでしょう。

参考になったでしょうか?それではまた~

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