2024.09.29
一般歯科
こんにちは!陽だまりデンタルクリニック 院長です。
今回はご高齢の方の治療をするうえで、どういったところに注意しているか、何ができて、何ができないのか説明していきますね。
高齢化社会が進む現代、日本では65歳以上の人口が全体の約30%を占めています。高齢者の口腔ケアは、全身の健康や生活の質(QOL)に直結する重要な課題です。しかし、年齢を重ねるとともに歯や歯ぐきの状態も変化し、特有の問題が生じます。
本記事では、高齢者歯科治療の注意点と治療選択について詳しく解説します。
高齢者は高血圧、糖尿病、心疾患、認知症など、複数の基礎疾患を抱えていることが多いです。これらの疾患は歯科治療に直接影響を及ぼす可能性があり、治療計画を立てる際に無視できません。
対策:患者さんの主治医と密に連絡を取り、最新の健康状態や服用中の薬剤を把握することが重要です。
多剤併用(ポリファーマシー)は高齢者に多く見られる問題です。歯科で使用する薬剤と他の薬剤が相互作用を起こす可能性があります。
対策:薬剤の投与量や種類を慎重に選択し、副作用のリスクを最小限に抑えます。
認知症やパーキンソン病などにより、治療への理解や協力が難しい場合があります。また、身体的な制約で長時間の治療が困難なこともあります。
対策:
高齢者は唾液の分泌が減少し、口腔乾燥症を引き起こしやすいです。これにより、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
対策:
可能な限り自分の歯を残すことが、生活の質向上につながります。歯周病治療や虫歯治療を通じて、残存歯の維持を図ります。
歯を失った場合、最も一般的な選択肢が義歯です。
種類 | 適用範囲 |
---|---|
部分入れ歯 | 一部の歯を失った場合 |
総入れ歯 | 全ての歯を失った場合 |
メリット | デメリット | |
---|---|---|
義歯全般 | – 比較的短期間で作製可能 – 費用が抑えられる | – 装着感に慣れるまで時間がかかる – 噛む力が弱くなる |
顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する方法です。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
インプラント | – 自分の歯に近い噛み心地 – 隣の歯を削る必要がない | – 手術が必要 – 全身状態や骨の状態によっては適用不可 – 費用が高額 |
欠損部の両隣の歯を削り、連結した被せ物を装着する方法です。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
ブリッジ | – 固定式で違和感が少ない – 比較的短期間で治療可能 | – 健康な歯を削る必要がある – 支台となる歯に負担がかかる |
このように治療の選択肢はあまり変わりません。しかし、全身状態や骨、歯の状態のよっては選択が狭まってきます。いかにその選択肢の中で咬めるようにしていくかが重要になります。
高齢者で歯をほとんど失ってしまった場合、若い頃のように食事を楽しむことは難しくなります。
義歯やインプラントを使用しても、天然の歯と同じ噛む力を得ることは困難です。硬い食べ物や粘り気のある食べ物は避けざるを得ない場合があります。
歯の欠損や義歯の装着により、発音が不明瞭になることがあります。特に「さ行」や「た行」の発音に影響が出やすいです。
食事や会話に支障をきたすことで、社会的な活動が減少し、孤立感や抑うつ状態になるリスクがあります。
対策:
高齢者の歯科治療は、若年者に比べて選択肢が限られる場合があります。そのため、歯を失う前の予防が最も重要です。
高齢者の歯科治療は、全身の健康状態や生活環境を考慮した総合的なアプローチが求められます。歯をほぼ失ってしまった場合、昔のように自由に噛むことは困難であり、その影響は食生活や社会生活にも及びます。だからこそ、早期からの予防と適切な治療が不可欠です。
陽だまりデンタルクリニックでは、高齢者の皆様が安心して治療を受けられるよう、専門的な知識と経験を持つスタッフがサポートいたします。お一人おひとりの状態やご要望に合わせた最適な治療プランをご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
高齢者の口腔ケアは、健康で豊かな生活の第一歩です。
参考になったでしょうか?ではでは~
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